ユルールの求める「文字」によって与えられる平等。
しかし、ナランの解釈は異なり…
"「文字」は人を等しくする。文字により経験も技術も共有され——欠けて替えのない人間はいなくなる"奇しくも時を同じくして、火薬が実用化される。
" これがもっと量産されるようになれば、"悪霊"だろうが"虎"だろうが、名もない兵が殺すようになる。"火薬も文字同様、兵間の武力の格差をなくす。
火器が広がることによって、"どの兵も等しく容易く多く殺傷するようになる"。
そして、火器は"刀剣・弓矢よりも個の経験や技術は要さず——"、"取り扱いのみ、広く知られさえすればよい"。
"——文字によって"皮肉なものですね。文字によってもたらされる平等は、必ずしも平和だけをもたらしはしないわけです。
さて、ユル—ルの身柄と玉音同の残り半分との交換をナランに提案されたシュトヘルでしたが…。
" 玉音同は渡さない " " ユルールも取り戻す。 "何故なら、玉音同を渡すということはユルールを裏切ることになるから。
そして、同じ頃一族の誇りを汚された"虎"も単身モンゴルに攻め込みます。
ユルールはというと、逃げるでもなく、大ハンと話をしたいと申し出ます。
大ハンに文字の美しい面を話したいと。
メルミの犬笛のお陰で捕われたユルールと合うことが出来たシュトヘルは、おそらく確実に殺されるであろう大ハンとの対面を希望するユルールの決意を知り…。
大ハンを討ち取ろうと、動き出す…ユルールが殺される前に。。
そして、モンゴルの陣でシュトヘルは再び"虎"と遭遇する!!
かつて互いに首を取り合った二人が今狙う首は同じ首。
モンゴルの大ハンの首!!
共通の敵を前に共闘する"悪霊"と"虎"。。
" 何もかもはうつろう " " おまえは今日は何者だ。 "一方、ナランは玉音同から大ハンの背に彫られた文字の意味を知り、
" ナラン様は、人の瑕許さぬおかたです。 "大ハンの背に彫られた文字、その意味は"西夏の奴隷"。。
古いモンゴルを清算するために大ハンの排除を目論むナラン。
ユルールのために大ハンの首を狙うシュトヘル。
そして、一族の汚名を漱ぐために大ハンの首を狙うハラバル。
三者三様の殺意が飛び交う中、遂にユルールが大ハンと対面する!!
" 小さなおれよ。 今いちど会おうとは。 "ジルグスから託された刀に勇気をもらい、ユルールは大ハンに語りかける。
" それが…あなたの名か…? ——テムジン。" いやはや、遂に大ハンとユルールが対面しましたね。
ユルールの言葉はどこまで大ハンに届くのでしょうか。
それにしても、大ハンの少年時代にそっくりなユルール。
非常に対比的ですね。
大ハンにとっては、過去の自分との対話とも言えるのかもしれません。
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