主人公、一ノ瀬
鉄宇は家から電車で2時間もかかる高校通うことになった新高校1年生。
"町はまだまだ眠っている 白くて綺麗。50m離れても見境なく万歳を繰り返す少し呆けた祖父も、心が白くて綺麗……とにかく…真っ黒なのは僕だけ……"鉄宇は、
"ある過去の出来事"から人と関わる事を避けるようになっていた。
しかし、入学式の帰り。
高校への行き方を老婆に尋ねられる。
老婆は鉄宇の学校でバスケの遠征試合をしている孫に"お守り"を届ける為にきたという。
道ゆく間、老婆の話を聞いた鉄宇。
スペイン舞踏を習っていたが、上手く躍れずいじめられていたという老婆の"孫"。
しかし、"ある人"に出会う事で自分のことが好きになれたという。
"あの日… あの人に会えて良かった…"その話を聞いて、鉄宇は
"人の人生を変えてしまうくらいの人間て、 どんな奴だろうー・・・""みじめになるから考えるのはやめよう。"
…と。
そして、老婆を送り届け帰路につこうとした時、老婆が"お守り"を取り落としてしまう。
その"お守り"の袋から出てきたのは…、
鉄宇の赤いバッシュだった。
中学までバスケをやっていた鉄宇は
"ある出来事"をきっかけに、バスケを断念していた。
そして屋上からバッシュを投げ捨てようとした時に、ひとりの"女の子"と出会う。
その女の子
"藤本さん"も鉄宇と同じように、屋上から"靴"を投げ捨てて思いを断ち切ろうとしていた。
お互いがお互いを羨ましいと感じる二人。
"ー・・・本当は…ずっと履き続けたかったけど… 一生懸命頑張ったけど…私には無理だった…なりたいものになれる人が… 羨ましい……""…僕もだ…"そして、お互いに靴を交換する事に…。
"あ、見て…"
"違う靴なのに何だか似ているね。"
翌週横浜の学校に転校していった"藤本さん"。
そう、老婆の"孫"は"藤本さん"だった。そして、"お守り"は"鉄宇の靴"。
自分のあげた靴をお守りとして、頑張っている"藤本さん"の姿に…。
"人の人生を変えてしまうほどの人間って、どんな奴だ?死んでくれと頼まれた僕でも、素敵な人ですか?真っ黒でも、僕に会えてよかったですか?"そして、帰宅した鉄宇に祖父から手渡された"赤い靴"。
それは藤本さんに貰った"スペイン舞踏の靴"だった。
翌日、料理の苦手な母親が持たせてくれる弁当。
中身は唯一の自慢の"目玉焼き"。
"いつでも皆に、自慢してくれていいからね…""藤本さんの頑張り"や"母親の気遣い"に背中を押されはするものの、
"スペイン舞踏の靴"にしろ"母親の目玉焼き"にしろ見てやるのが自分だけなんて憐れだと感じる鉄宇。
少しずつ気持ちが前に向き始めている鉄宇。しかし、自分に自信を持てない鉄宇は…
"所詮 僕だ。どうしよう、何が出来る?僕はどうすれば良い?"そんなある日、体育の授業中。
いじめっ子(?)の"山田君"の"市川君"への発言に、過去のトラウマを重ねた鉄宇は"市川君"を庇う。
"…調子になんか乗ってない…調子になんか、乗ってない……精一杯だ。お前になんか負けたくないけど、これが僕の…精一杯だ…"鉄宇が"山田君"に踏みつけられそうになったところに助けに入る"菊池英"。
その出来事を機に、3人は弁当を一緒に食べる事に…。
"一ノ瀬鉄宇"と
"市川円砢"と
"菊池英"。
クラスから少し浮いた3人の交流がここから始まります。
鉄宇の"目玉焼き"を芸術だと褒める二人。
"母さんは… どんな顔するかな…笑うかな? 当然だと偉ぶるかな?"そして、家に帰りその事を伝えると母親は、
"そうか。安心した。"
"じいちゃんも言ってたでしょ。 目玉焼き以上にお前は私の芸術だって。お前が自分に自信を持てない分、私が持っててやるから、怖がらずに生きな。"
"また友だち出来て良かったね…"そして、自室で鉄宇は"スペイン舞踏の靴"を履いて
"なんて不格好な芸術だろう…でも 所詮 僕だまあいいか…"ゆっくりとではあるものの、確実に前に向きつつある鉄宇。
そして、スペイン舞踏"フラメンコ"について調べ、
スタジオなども探しますが、
"赤いヒールの靴を履いて…躍ろうなんてそんな奇行ー・・・ 誰に言える?"とまだ迷いは捨てきれません。
そして、見つけた一軒の寂れたスタジオ。
レッスン料が安く鉄宇にも払える金額ではあったものの、随分と以前から閉めてしまっているスタジオのようです。
その日は諦めて帰る事に…。
鉄宇が帰宅すると、母親から単身赴任している父親のもとから横浜の中学に通っていた妹が翌日家に帰って来る事になった事を聞かされる。
"ある出来事"から鉄宇が自暴自棄になっていた時に喧嘩したまま疎遠になっていた兄妹。
そしていつの間にか出来ていた妹の左頬の大きな傷跡。
その事をざまあみろくらいに思っていた鉄宇だが…、
偶然その"傷"の出来た理由を知り…
昨日見つけたスタジオに駆けます。
隣にすんでいる老婦人にスタジオのオーナーのことを尋ねます。
"でも 俺、前に進まなきゃ……守られている事も知らずに自惚れている自分は…もう嫌ですっ!!"オーナーに連絡をすると約束してくれた老婦人。
そして、翌日妹と再会。
ようやくやりたい事が見つかったと報告。
こうして少しずつ、しかし確実に前進を始めてゆきます。
…結構しっかりと中身を書いてしまいました。
大丈夫かな…??
まあ、これだけ書いたのものの実際大分内容をはしょっているので大丈夫でしょう。(そう信じていますwww)
少なくとも物語の核心となる部分についてはかなりはしょってます。
"過去の出来事"とか、
"傷の理由"とか、etc…。
一応粗筋が通る最低限の内容にしたつもりなのですが…第一巻なのでね。
すこしは詳しく書かないと話が通じませんので。
とにかく、スゴく濃い内容だと思います。
キャラクターが魅力的ですね。なんでも出来るっていう万能型的な魅力ではなくて、挫折して、自分の弱さを思い知らされて、それでも、だからこそ必死に前へ進んでいこうという姿勢がとても魅力的です。
しかしなんといってもやはり、鉄宇の母親が格好良過ぎますね。
冒頭にも、粗筋中にも引用させていただいてますけど
"お前が自分に自信を持てない分、私が持っててやるから、
怖がらずに生きな。"というセリフ。読んだ時涙が出そうになりました。
そして、妹の健気さも…。
上述の母親のセリフに始まり、作中に散りばめられた非常に印象的なセリフ。。
秀逸です。。心打たれます。。
多分この感動、読んでみないと解りません。
是非ご一読を。絶対に外れはありません。
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